教授は黒板に名前を書いた。
フリードリヒ・ヴェーラー
ミナは聞いた。
「この人が、生命力説を壊した人ですか」
教授は少し慎重に言った。
「よく、そのように紹介されます。ただし、少し丁寧に見る必要があります」
レンが言った。
「ヴェーラーの尿素合成ですね」
教授はうなずき、黒板に書いた。
尿素
生物の体内で作られる有機物の一つ。
「尿素は、動物の体内で窒素を含む不要物として作られ、尿に含まれる物質です」
ミナは言った。
「かなり生命っぽい物質ですね」
「はい」
教授は答えた。
「ヴェーラーは、無機物と考えられていた物質から尿素を得ました」
黒板に簡単に書く。
無機物から
↓
尿素ができた
ミナは目を開いた。
「生き物の体じゃなくても、有機物ができた」
「そうです」
教授はうなずいた。
「これは、生命の物質は必ず生命力によってしか作れない、という考えを大きく揺さぶりました」