Dr. K

気の赴くままに書きます

12-4. 水の中の共有結合

 

 

教授は黒板に水分子を書いた。

 

H―O―H

 

「水分子では、酸素原子と水素原子が共有結合で結びついています」

 

ミナは言った。

 

「酸素が真ん中で、水素が二つ」

 

「はい」

 

教授はうなずいた。

 

レンが言った。

 

「酸素は水素より電子を引きつけやすいので、水分子には偏りができます」

 

ミナはすぐに言った。

 

「偏り?」

 

教授は黒板に書いた。

 

電子の偏り

= 分子の中で、電子が均等ではなく、どちらかに寄ること。

 

「水分子では、酸素のほうに電子がやや引き寄せられます。そのため、水分子には電気的な偏りができます」

 

ミナは言った。

 

「それが水の性質に関係するんですか」

 

「はい」

 

教授は答えた。

 

「水がいろいろな物質を溶かしやすいことや、水素結合にも関わります」

 

ミナはノートに書いた。

 

共有結合でも、電子の偏りが性質に影響する。

12-3. 共有結合

 

 

教授は黒板に大きく書いた。

 

共有結合

 

ミナは言った。

 

「電子を共有する結合、でしたよね」

 

「はい」

 

教授は答えた。

 

「共有結合では、原子どうしが電子を共有します」

 

黒板に書く。

 

H・ + ・H

↓

H:H

 

「水素原子は、それぞれ電子を1個持っています。二つの水素原子がその電子を共有すると、水素分子H₂になります」

 

レンが言った。

 

「共有された電子対が、二つの原子を結びつける」

 

ミナは言った。

 

「電子を一緒に使って、つながるんですね」

 

「そのように考えるとよいです」

 

教授はうなずいた。

 

黒板に書く。

 

共有結合

原子どうしが電子を共有してできる結合。

 

ミナはノートに書いた。

 

共有結合は、電子を分け合う結合。

12-2. 外側の電子が重要

 

教授は前の章の言葉をもう一度書いた。

 

価電子

化学結合や反応に関わりやすい、外側の電子。

 

「結合を考えるとき、特に重要なのは外側の電子です」

 

ミナは言った。

 

「原子の外側にある電子が、ほかの原子と関係するんでしたね」

 

「はい」

 

教授はうなずいた。

 

「原子核に近い電子は、内側にしっかりあります。一方、外側の電子は、ほかの原子と関わりやすい」

 

レンが言った。

 

「だから周期表の同じ族は、外側の電子が似ていて、性質も似る」

 

「その通りです」

 

黒板に書く。

 

外側の電子

↓

結合

↓

物質の性質

 

ミナはノートに書いた。

 

結合を見るには、外側の電子を見る。

12-1. 原子は一人でいたいのか、誰かといたいのか

教授は黒板に、二つの原子を描いた。

 

A  B

 

「原子は、いつも一つだけで安定しているとは限りません」

 

ミナは言った。

 

「一人でいるより、誰かと結びついたほうが安定なことがある?」

 

「はい」

 

教授はうなずいた。

 

「たとえば、水素原子Hは、一つだけでいるより、二つ結びついてH₂分子になるほうが安定です」

 

黒板に書く。

 

H + H → H₂

 

レンが言った。

 

「酸素もO₂、窒素もN₂として存在することが多いですね」

 

教授はうなずいた。

 

「原子どうしが結びつくことで、全体として安定になる場合があります」

 

ミナはノートに書いた。

 

原子は、結びつくことで安定になることがある。

第12章 結合とは何か

黒板には、前の章の最後に書かれた問いが残っていた。

 

原子は、なぜ結びつくのか。

 

ミナはその問いを見ながら言った。

 

「原子って、勝手にくっつくんですか」

 

教授は少し笑った。

 

「“勝手に”という言い方は面白いですね。ただ、原子どうしは条件が合えば結びつき、分子や結晶を作ります」

 

レンが言った。

 

「そのしくみが化学結合ですね」

 

教授は黒板に書いた。

 

化学結合

原子どうしを結びつけるしくみ。

 

ミナはノートに写した。

 

「でも、どうして結びつくんですか」

 

「鍵になるのは、前の章で見た電子です」

 

教授は、黒板の端に小さく書いた。

 

電子が、結合を作る。

11-12. 次の問いへ

教授は黒板に、新しい問いを書いた。

 

原子は、なぜ結びつくのか。

 

ミナは言った。

 

「次は結合ですね」

 

「はい」

 

教授はうなずいた。

 

「原子の中に電子があり、その外側の電子が化学的性質に関わることがわかりました。では、原子どうしが結びつくとは、電子がどう関わることなのでしょうか」

 

レンが言った。

 

「共有結合、イオン結合、金属結合ですね」

 

教授は答えた。

 

「次章では、化学結合を見ていきましょう」

 

ミナはノートの最後に、まとめを書いた。

 

⸻

 

第11章のまとめ

 

原子は、中心の原子核とその周りの電子からできている。

元素の種類は陽子の数で決まり、元素の性質や反応性は主に外側の電子配置によって説明される。

11-11. 電子が化学をつなぐ

教授は黒板に、これまでの言葉を並べた。

 

周期表

イオン

化学結合

酸化還元

電池

光の吸収

分析

 

「これらは、すべて電子と関係します」

 

ミナは少し驚いた。

 

「電子って、かなり中心なんですね」

 

「はい」

 

教授はうなずいた。

 

「原子核は元素の種類を決めます。しかし、物質がどう結びつき、どう反応し、どんな色を持ち、どんな電気的性質を示すかには、電子が深く関わります」

 

レンが言った。

 

「化学は電子の学問でもある、と言えますね」

 

「そう言ってよい面があります」

 

教授は答えた。

 

ミナはノートに書いた。

 

電子は、周期表・結合・反応をつなぐ鍵である。